パチンコ・スロットで勝った場合に、気になるのが税金問題です。
パチスロで得たお金はすべて“利益・収入”と扱われるため、勝った金額によっては税金を納める必要も出てくるんですよ。
本記事では、確定申告が必要なケースや実際の税金がいくらになるのかのシミュレーション・無申告時のペナルティなどについても詳しく解説していきます。
[結論]パチスロで得た利益には一定額以上で税金が発生する
まず初めに、原則『パチスロで勝って得た利益が一定額を超えると税金がかかること』を知っておいてください。この税金は、所得税のことです。今の日本ではたくさんの税金が存在しますが、利益に対する税金は所得税に当てはまります。
税金がかかるなんて意外だと思った人も居るかもしれません。現に、パチスロで勝っても極めてバレにくい・かなりの確率でバレていないのが現状です。きちんと確定申告を行ない納税している人は、ほとんどいないと言っても良いほどです。貯まった出玉は景品と交換し、パチスロ店で直接現金に換えているわけでは無いですもんね。
しかし、出玉と交換した景品は“他のお店”に持って行き、現金に換えて利益を得ています。ここで得た金額が一定額以上の収入に該当すれば、税金を納める手続き(確定申告)を行わなければなりません。
税金を納める義務があることを踏まえた上で、なぜ原則と言ったのか‥その理由は、後述するように「年間で得た金額が少なければ確定申告を行なう必要は無い・税金も発生しない」からです。もう少し詳しく見ていきましょう。
確定申告は利益に対する税金の申告手続きのこと
冒頭でもよく出てきた「確定申告」について、簡単に復習しておきましょう。
そもそも確定申告とは、1年間で得た収入・利益に対してかかる税金=所得税を自分で計算し納める手続きのことを指します。収入と所得は同じような意味合いですが、利益から必要な経費を引いて残った額を「所得」とみなします。
給与にかかる税金は会社が年末調整している
会社員として給与を貰っている場合は、会社が年末調整という形で所得税の納税手続きを行なっています。確定申告はあくまで自分で税金を納めるための手続きのことで、年末調整とは全く別物です。
本業以外に一定額以上の収入を得たら必ずすべき手続き、と認識しておいてください。
パチスロの場合は基本的に課税所得の一時所得にあたる
所得税法によると、所得は10種類に分類されています。
(参考:国税庁No.2011課税される所得と非課税所得)
これら10種類の課税所得のうち、パチスロを含むギャンブルで得たお金は
〇営利を目的としていない
〇継続的行為から生じた所得以外の所得
基本的には、以上2つを満たす“一時所得”に当てはまります。休みの日にパチスロをやる程度ならば、継続的行為‥とは言い難く娯楽に当てはまるためです。臨時収入をイメージすると分かりやすいかと思います。
儲ける(勝つ)ためにパチスロをやっている人も多いとも思うので、営利を目的としていない‥というのが矛盾点でもありますが。
パチスロが本業なら雑所得に該当
パチスロの利益が一時所得に当てはまるのは、会社員の傍ら娯楽程度にやっている人のみです。休みの日や仕事後などにパチスロ店に出向いて楽しんでいる人は、ほぼこの一時所得です。
しかしパチンコ・スロットを“本業”でプロとして定期的に収入を得ているような人の場合は、一時所得では無くて<雑所得>に当てはまります。
前章のリンク先:No.2011のページを読んで頂くと分かりますが、10種類の所得のうちいずれにも当てはまらないものは雑所得と判断されます。
事業所得に当てはまる場合もある
しかしかなり稀ですが、パチスロで得たお金のみで生計を立てている場合に個人事業主で得ている<事業所得>と判断されることもあるようです。
明確な線引きがされているわけでは無く国税庁のページにも記載が無いので、正確なことはお伝えできませんが・・。もし本業で利益を得ている人が居れば、お住まいの税務署で確認する方が確実です。
一時所得、雑所得・事業所得では控除額も違う
なぜ一時所得と雑所得・事業所得の違いをお伝えしたかと言いますと、控除額が異なるためです。控除額が異なるということは、年間所得がいくらから確定申告するべきか?という基準・計算方法なども違ってくるからです。
計算方法は次々章で詳しく解説しているので、そちらをお読み頂ければと思います。
1年間の所得が50万円以下なら非課税!
さて、一定額以上の収入=いくらからを指すのでしょうか。1年間(1~12月)の所得が50万円以上の人は、確定申告して税金を納めなければなりません。逆に言えば、1年間の“所得”を計算して50万円以下であれば確定申告は不要・非課税で済むということです。
なぜ50万円なのかと言いますと、税率の計算に必要な一時所得の金額を算出する際に<特別控除額50万円>が差し引かれるからです。50万円以下なら計算してもマイナスになるので、所得税はかかりません。
国税庁の一時所得のQ&Aページ[No.1490一時所得:A1]にも、「~年間50万円を超えない限り、確定申告する必要は無い」と明確に記載されています。
雑所得の場合は、年間20万円以下
年間50万円以下というのは一時所得の場合です。パチスロを本業でやって利益を得ているような雑所得に当てはまる人は、「年間20万円」がボーダーラインです。
比較すると、30万円も下がってしまいますね。
税金の計算方法:パチスロの利益が一時所得の場合
パチスロで得た利益・収入は、大部分が一時所得に当てはまります。一時所得とする場合、所得税がいくらになるのか計算してみましょう。難しいように感じていたかもしれませんが、速算表を使えば簡単に算出できます。
①【総収入金額ー収入を得るために支出した金額(経費)ー特別控除額50万円】まず、この計算式に当てはめてください。
②①で出た金額を2で割る
③②で出した金額を所得税率の速算表に当てはめる⇒所得税額
②で出た金額は、あくあまでも税率を計算するためのもので「課税される所得金額」です。所得税として納める金額では無いので、注意してくださいね。
重要:経費に負けた分は含まれない!
上記の計算方法①で、総収入金額から経費を引いていますね。この経費に、“負けた時に費やした金額”は含めることはできません。勝ち負けを繰り返して、年間トータルで100万円勝ったとします。5万円使い8万円負けた場合、8万円負けたので費やした5万円は経費にできないのです。
参照:【国税庁No.1490一時所得:2.所得の計算方法】
その収入を生じた行為をするため‥直接要した金額に限ります。とあるので、負けた分は計上しないように気を付けてください。
所得税額をシミュレーションしてみよう
1年間の収入が200万円・経費は80万円と仮定し、①~③の順に計算していきましょう。
①総収入金額200万円ー収入を得るために支出した額80万円ー特別控除額50万円=70万円
②①で出た70万円を2で割る=35万円
③速算表に当てはめてみると、税率は一番上の項目;5%なので⇒350,000×5%=17,500円。
この17,500円が、所得税額です。これに復興特別所得税が課せられて、実際の納税額が決まります。今ではこのような[一時所得の計算]計算ツールなども提供されているので、探して利用してみてください。
税金の計算方法:パチスロの利益が雑所得・事業所得の場合
パチスロの利益が雑所得や事業所得だった場合に、どのように計算するのかも載せておきますね。
雑所得は、控除額無し
雑所得は、年間のトータル収支が20万円以上なら確定申告です。
しかし一時所得の計算式のように、特別控除額50万円が存在しません。雑所得における所得税の計算式は・・【総収入金額ー収入を得るために支出した金額(経費)】で求められます。
雑所得は負けた分の経費の証明が難しい
控除されない分所得税が高くなるので、負けた分をいかに経費として計上するか?がポイントになります。しかし雑所得の場合は、パチスロを本業としていること・負けた時にいくら費やしたのかという誰が見ても分かる証拠が無いと(経費とするのは)難しいです。
そもそもパチスロは直接お店で現金化しているわけではありませんし、自分で帳面に随時記録したからと言って決定的な証明になるとは断言できないからです。税務署や税理士の判断によるところも大きいです。
事業所得は青色申告で65万円の控除が可能
事業所得の場合も、一時所得や雑所得と同様に【総収入金額-収入を得るために支出した金額(経費)】が計算式です。
しかし事業所得として確定申告する場合は、青色申告を行うことで「特別控除額65万円」を受けることができます。
帳簿や決算書などかなり詳しい収支情報が必要ですが、個人事業主としてパチスロを行なっているのであれば青色申告で確定申告を行うことで所得税の減税に繋がりますよ。
パチスロで勝った分はきちんと申告しないとバレる?!
パチスロで勝った分は申告しないとバレるのでしょうか。バレるか・バレないかで言えば、答えは『バレることはほぼ無い』です。
パチスロの利益を一時所得とする場合、年間50万円以上なら確定申告して税金を納めなければなりませんね。
しかし冒頭でも言ったように、きちんとパチスロで勝った分を申告して納税している人なんてほぼいません。というのもパチスロで得たお金というのは、収入はもちろん費やした分の支出も具体的な金額を証明することが難しいからです。
パチスロが三店(者)方式である以上、証明は困難
パチスロは競馬・競輪のような公営ギャンブルでは無いので、勝った時の換金方法が違います。
1.出玉を金塊など景品と交換する(パチスロ店)
2.パチスロ店の近くにある換金所に行く(プレイヤー)
3.1.で得た景品を現金で買取してもらう(換金所)
パチスロ店の近くに“たまたま”換金所があったから、買い取ってもらい現金化しています。換金所で身分証明書を見せるわけでもありませんし、個人の特定は極めて難しいと言えるでしょう。
ちなみに換金所は、プレイヤーが持ってきた景品をまたパチスロ店に持って行き→お金を受け取っています。
このように、パチスロ店・換金所・プレイヤーの三店方式=三者で成り立っていることが分かりますね。
SNSやYouTube・税務署への密告などでバレることもある!
よほど何千万と勝って高級車や住宅などを一括して買わない限り、確定申告しなくても税務署にバレるということは(ほぼ)ありません。しかし、パチスロの収支をSNS等のブログやYouTubeを通じて赤裸々に語っている人は注意してください。
もし万が一、妬まれて税務署へ密告されてしまったら‥申告していないことがすべて筒抜けでバレてしまいます。自宅に税務職員が来て事情聴取と税務調査‥という事態になりかねません。またSNSにアップしていなくても友人などに自慢した時も、密告されやすいので侮れません。
ペナルティ発生!延滞税や無申告加算税でさらに支払いが増える
申告していないことがバレたら、ペナルティが発生します。
本来支払うべきであった所得税にくわえて、延滞税や無申告加算税なども合わせて請求されて支払いが増えます。きちんと申告していればペナルティは無いものの、やるべきことを怠っていたわけですから当然の仕打ちとも言えますね。
住民税や国民健康保険料などが増額することも
一定の収入があると判断されることで、上記の支払い以外にも<住民税>や<国民健康保険料>が増額する場合もあります。
これらは自治体によって税率等が異なりますが、どちらも収入が多いほど税金は比例して増えます。
まとめ:パチスロで一定額以上稼いだら税金は納めよう
今までの内容をまとめますね。パチスロで得た利益が、
・年間50万円以上なら、確定申告で税金として納める
・年間50万円以下なら確定申告は不要
ということになります。
記事を読んで、「バレなければ税金を納めなくて良いや」と考えた人も居ることでしょう。今の三店方式の仕組みのままなら、税務署にバレる可能性も極めて低いからです。パチスロ店で交換しているのはあくまでも景品で合って現金では無いので、ギャンブルとは判断されません。やらない人からすれば、れっきとしたギャンブルなのですが・・。
勝ちが安定するようになると自慢したくなるのが人の性、他人に密告されるよりは自分できちんと確定申告して税金を納める方がはるかにリーズナブルです。
シミュレーションしたように、1年間で200万円の収入を得て経費が80万円とすると→1年間の税金は約18,000円です。この金額を高いと捉えるか低いと捉えるかは人それぞれですが、きちんと税金を納める方が安心するならば安いと思うことでしょう。
密告されてしまう可能性もかなり低いですが、「定期的にパチスロである程度の収入を得ているのであれば、申告すべき」だと思います。